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こどものリウマチ -
若年性特発性
関節炎 ( JIA ) とは?
ある一時点でどれだけJIA患者さんがいるか ( JIAの有病率 ) は報告によってまちまちですが、日本でのJIAの有病率は小児の人口10万人当たり10〜15人と考えられています。病型別では、全身型JIAは約4割、少関節炎型JIAは約2割、多関節炎型JIAは約3割、その他のJIA ( 3病型 ) は合わせて約1割という報告があります。全身型JIAには男女差がありませんが、少関節炎型JIAは男女比1:3、多関節炎型JIAは1:4と女児に多く発症します。
詳しい原因はまだはっきりと分かっていませんが、免疫反応、環境暴露 ( 主に感染症 ) 、遺伝的因子により発症すると考えられています。関節炎が起こる過程には、炎症性サイトカイン ( IL-1b、IL-6、TNF-a、IL-18など ) が重要な役割を果たしていると言われています。
全身型JIAの治療は、炎症を速やかに抑制して、重症化を防ぐことが目標になります。重症度により、非ステロイド性抗炎症薬 ( NSAIDs ) やステロイド ( プレドニゾロン ) 、免疫抑制薬が使用されます。なかには大量のステロイド投与が必要な場合もあります。患者さんの約80%ではステロイドをゆっくり減量し、中止することができます。しかし、ステロイドを減らすと症状がまた出てきたり、関節炎が続くような場合はメトトレキサート ( MTX ) や生物学的製剤 ( トシリズマブなど ) の使用が検討されます。
関節型JIAの治療は、関節炎の症状を抑え、関節破壊の進行を阻止して関節を守ることが目標になります。診断が確定するまではNSAIDs を用いて痛みを抑え、その後にMTXと少量のステロイドを加えたMAP療法が一般的に行われています。これらの治療でも効果が不十分な場合は、TNF阻害薬などの生物学的製剤の使用が検討されます。
JIAの予後は病型によって異なります。発症から10年後に、症状がほぼ無くなってコントロールできた状態 ( 寛解 ) まで回復できる率は3〜6割と言われています。10年後には約半数に関節炎が残り、3割が画像検査をすると関節に障害が残っていることが分かりますが、その他は支障なく生活できます。しかし、約1割では寝たきりや車イスが必要となるようです。また、全身性JIAの8%ほどはマクロファージ活性化症候群という急性かつ重症の病気を合併し、予後が悪いことが知られています。
今後、早期の診断と治療により、JIAの予後は改善できると期待されています。
【参考文献】
リウマチ情報