治療法は?

診断・検査・治療について理解しよう

関節リウマチ(以下リウマチ)の原因はまだ十分わかっていませんが、研究が進み、少しずつ解明されてきています。従来リウマチは不治の病であると考えられていましたが、今ではその進行の速度を抑えることも可能になっています。患者さんも“治る”という強い信念をもって治療を受けて下さい。ご家族の方のご協力や主治医の先生との二人三脚が重要となるのです。

  • どのような治療が
    行われますか?
  • 薬物療法
  • リハビリテーション
  • 手術療法
  • その他の治療法

どのような治療が行われますか?

現在では、効果の高い薬を使う治療が中心です。

以前のリウマチ治療は、薬で炎症や痛みを抑えたり、悪くなった関節部位を手術で取り除くくらいしか手立てがありませんでした。しかし、メトトレキサートや生物学的製剤などのすぐれた治療薬の登場により、炎症や痛みを抑えるだけでなく、病気の進行を食い止めて関節が破壊されるのを防ぎ、患者さんの生活の質を高める治療ができるようになってきました。
現在では、こうした薬を使った治療(薬物療法)を中心に、リハビリテーション、手術などを、必要に応じて組み合わせて治療を行うのが一般的です。
最新のリウマチの治療では、リウマチの活動性をみながら、寛解(かんかい)を目標に治療をします。どうしても寛解に入らない場合でも、ある程度、炎症がコントロールできる状態(低疾患活動性)を目標にして治療をします。このようなやり方は、「目標達成に向けた治療(treat-to-target)」とも呼ばれます。
リウマチの活動性を判定するためには、全身の28関節の腫れや痛みの程度をみるDAS28という方法が使われます(表3)。3カ月以内にリウマチが十分にコントロールできない場合には、積極的に薬を変更したり、あるいは追加することにより、寛解や低疾患活動性を目指します。
いったん治療によって寛解に入った後も、寛解を維持することが大切です。寛解に入った途端に薬を減らしたりすると、また再発をしてしまいます。寛解が長期間続く場合には、薬の減量や中止ができる場合もありますが、勝手に治療をやめないで、主治医の先生とよく相談をしてください。

(表3) DAS28による活動性評価基準

>5.1 高疾患活動性
3.2 〜 5.1 中疾患活動性
<3.2 低疾患活動性
<2.6 寛  解

(表4) 薬物療法に使用される薬剤

治療薬 役 割
非ステロイド性抗炎症薬 痛みや炎症の軽減(抗リウマチ薬の補助)
ステロイド 痛みや炎症の抑制(抗リウマチ薬の補助)
抗リウマチ薬 免疫異常・炎症の改善及び抑制
軟骨・骨破壊の進行遅延
(リウマチ治療の中心)
生物学的製剤 炎症抑制
軟骨・骨破壊の進行抑制
(抗リウマチ薬の効果不十分例に使用)

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監修:
東京医科歯科大学 名誉教授 宮坂信之 先生

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薬物療法

1. 薬物療法

非ステロイド系抗炎症薬(表5)
この薬は、痛みに関連するプロスタグランジンという物質ができるのを防ぐことで、リウマチの痛みや炎症を軽くします。ただし、病気の進行を止めることはできません。

(表5) 代表的な「非ステロイド系抗炎症薬」

分 類 一般名 主な製品名
サリチル酸系
サリチル酸系 アスピリン バファリン®
アントラニル酸系
アントラニル酸系 メフェナム酸 ポンタール®
フルフェナム酸 オパイリン®
フェニル酢酸系
フェニル酢酸系 ジクロフェナク ボルタレン®
インドール酢酸系
インドール酢酸系 インドメタシン インテバン®、インダシン®
インドメタシンファルネシル インフリー®
スリンダク クリノリル®
プロピオン酸系
プロピオン酸系 ロキソプロフェン ロキソニン®
イブプロフェン ブルフェン®
ザルトプロフェン ソレトン®、ペオン®
オキシカム系
オキシカム系 アンピロキシカム フルカム®
ロルノキシカム ロルカム®
メロキシカム モービック®
アリール酢酸系
アリール酢酸系 エトドラク ハイペン®、オステラック®
コキシブ系/COX-2
選択阻害
コキシブ系/COX-2
選択阻害
セレコキシブ セレコックス®
副作用
副作用
主な副作用:胃腸障害
他の副作用:腎障害、肝障害など
*成分や製剤の改良により、副作用を減らす工夫がなされている。

ステロイド(副腎皮質ステロイド)(表6)
活動性の高いリウマチに対して、抗リウマチ薬の補助として用いられます。ただし、ステロイドを長く使っていると、糖尿病や骨粗しょう症、白内障、感染症などを合併しやすくなるので、抗リウマチ薬が効き始めたらすみやかに減量、もしくは中止します(図10)。

(表6)代表的な「ステロイド」

一般名 主な製品名
ヒドロコルチゾン コートリル®
デキサメタゾン デカドロン®
トリアムシノロン レダコート®
ベタメタゾン リンデロン®
プレドニゾロン プレドニゾロン
プレドニン®
メチルプレドニゾロン メドロール®

*製品名は簡略記載

(図10)「ステロイド」の副作用

(図10)「ステロイド」の副作用

抗リウマチ薬(表7)
リウマチ治療の主体となる薬です。効果が現れるまでは非ステロイド系抗炎症薬やステロイドが併せて用いられますが、効果が出始めたら、それらの薬は止めることもできます。
また、治療効果を高めるため、抗リウマチ薬を2剤以上併用することもあります。
どの抗リウマチ薬も効果の程度に個人差がありますが、メトトレキサートは有効率が高く、関節破壊の進行を遅らせることができ、リウマチ治療の中心薬として使用されています。ただし、骨髄抑制、肝障害、間質性肺炎などの重い副作用が起こることがあるので、定期的に検査を受けながら服用することが大切です。

(表7)代表的な抗リウマチ薬

  一般名 主な製品名 主な副作用
免疫調節薬
免疫調節薬 ブシラミン リマチル® 発疹、タンパク尿など
サラゾスルファピリジン アザルフィジン® 発疹、血液障害など
金チオリンゴ酸ナトリウム
(注射金製剤)
シオゾール® 発疹、口内炎、間質性肺炎など
アクタリット モーバー®、オークル® 発疹など
イグラチモド コルベット®、ケアラム® 肝障害、胃腸障害など
免疫抑制薬
免疫抑制薬 レフルノミド アラバ® 肝障害、下痢、脱毛など
タクロリムス プログラフ®、タクロリムス 腎障害、高血糖など
メトトレキサート リウマトレックス®、 メトレート®、メトトレキサート 肝障害、造血障害、脱毛、間質性肺炎など
ミゾリビン ブレディニン® 腎障害、造血障害など
免疫抑制薬(難治性リウマチ性疾患)
免疫抑制薬
(難治性リウマチ性疾患)
アザチオプリン イムラン®※ 造血障害、肝障害など
シクロホスファミド エンドキサン®※ 造血障害、出血性膀胱炎など
JAK阻害薬
JAK阻害薬 トファシチニブ ゼルヤンツ® 感染症など

※関節リウマチは保険適用外
*製品名は簡略記載

生物学的製剤(表8)
生物学的製剤は、炎症性サイトカインのTNFα、IL-1、IL-6やT細胞などを標的として炎症を抑え、軟骨や骨の破壊の進行を大きく抑えることのできる薬です。抗リウマチ薬の効果が不十分な場合に用いられます。わが国では、平成15年にインフリキシマブが登場してから、現在までに7種類の生物学的製剤が使用可能になりました。また、最近では患者さんが自分で注射できるキットも登場し、より便利な使い方ができるようになっています。
一方で、感染症を始めとする副作用や、高価であることなど、いくつかの問題点もあります。生物学的製剤の使用や、ほかの薬との使い分けなどについては、専門医の知識が必要です。

(表8)生物学的製剤

一般名 製品名 標的 投与方法 MTX
※併用の必要性
インフリキシマブ
インフリキシマブ レミケード® TNFα 点滴 必 須
エタネルセプト
エタネルセプト エンブレル® TNFα/β 皮下注射 併用可
トシリズマブ
トシリズマブ アクテムラ® IL-6 点滴、皮下注射 併用可
アダリムマブ
アダリムマブ ヒュミラ® TNFα 皮下注射 併用可
アバタセプト
アバタセプト オレンシア® CTLA4 点滴、皮下注射 併用可
ゴリムマブ
ゴリムマブ シンポニー® TNFα 皮下注射 併用可
セルトリズマブペゴル
セルトリズマブペゴル シムジア® TNFα 皮下注射 併用可
主な副作用
主な副作用
感染症(上気道感染、肺炎など)

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監修:
東京医科歯科大学 名誉教授 宮坂信之 先生

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リハビリテーション

2. リハビリテーション

リハビリテーションには、運動療法、理学療法、作業療法、補助具を使った療法などがあり、これらを通してからだの機能を回復していきます。リウマチ体操(図11)は運動療法の基本で、理学療法(図12)とあわせて、毎日行うことが大切です。運動には、ストレスを軽くして免疫力を高め、関節が固まるのを予防する効果があります。無理のない範囲でからだを動かしましょう。

(図11)リウマチ体操

(図11) 手指の運動

(図11) 手の指先でつまむ運動 握力の運動

(図11) 手首の運動

(図11) 足指の運動

(図11) 足指の運動

(図11) 太ももの運動

(図11) 首の運動

(図11) 肩の運動

(図12) 「理学療法」の基本

「理学療法」とは水や温熱、光、超音波などの刺激を利用し、痛みを和らげたり、血液の循環をよくする療法です。もっとも多く利用されるの「温熱療法」ですが、「温めるべきか」「冷やすべきか」の選択はケースバイケースです。

(図12) 「理学療法」の基本

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監修:
東京医科歯科大学 名誉教授 宮坂信之 先生

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手術療法

3. 手術療法

滑膜切除術(かつまくせつじょじゅつ)
かつては、炎症が激しい関節の滑膜を切除する手術がよく行われました。しかし、最近では早期から十分な薬物療法を行うようになったため、あまり行われません。

人工関節置換術(じんこうかんせつちかんじゅつ)
ひざや股関節などを人工の関節(図13)に入れ替え、そのはたらきを再び戻すようにする手術です。最近では人工関節の材料なども改良され、耐用年数も大きく伸びています。医療技術の進歩により、かつてはあまり行われなかった高齢の患者さんでも、積極的にこの手術が行われるようになりました。

関節固定術
リウマチが原因で、頸椎(首の骨)に変形などが起こることがあります。これを放置すると、神経が圧迫されて手足のしびれや麻痺が出たり、ひどいときは突然死の原因ともなります。それを防ぐために、頸椎を固定するための手術を行うことがあります。

その他
このほか、手の腱が切れた場合や足の指が変形した場合などにも手術を行うことがあります。いずれの手術を行うにせよ、主治医の先生を通じて、十分に経験を積んだリウマチ専門の整形外科医を 紹介してもらうことが大切です。

(図13) 人口ひざ関節、人工股関節

(図13) 人口ひざ関節、人工股関節

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監修:
東京医科歯科大学 名誉教授 宮坂信之 先生

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その他の治療法

4. その他の治療法

リウマチの治療法のひとつに、白血球除去療法があります。これは血液中の活性化した(悪さをする)白血球を体外に取り出し、浄化された血液を戻して炎症を鎮める治療法です。保険で認められた治療法ですが、高価であり、関節破壊の進行防止など病気の改善にかかわるデータもまだ十分にそろっていません。まずは薬物療法を十分に受けることが大切です。

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監修:
東京医科歯科大学 名誉教授 宮坂信之 先生
監修:
東京医科歯科大学 名誉教授 宮坂信之 先生

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