プロジェクトストーリー 患者さんのよりよい治療や暮らしにつながるまで。現場で重ねられた判断と連携を描く。

ばらばらだった視点を、
患者さんが続けられる治療へつなぎ直す。

関節リウマチの治療では、症状や副作用、生活負担が重なり、服薬が続けにくくなることがある。今回必要だったのは、薬の情報を届けることだけではなく、医師・薬剤師・看護師が見ている情報を整理し、患者さんが治療と向き合える道筋をつくることだった。これは、領域に深く通じたMRが、多職種の視点を患者さんが治療を続けられる状態へと導いた一例である。

PROJECT DATA

テーマ:関節リウマチ患者さんの服薬継続支援
領域:整形外科/リウマチ領域
関係者:医師/薬剤師/看護師/MR
課題:副作用や症状により、患者さんが治療を継続できない
取組:服薬指導資材の活用と、多職種間での情報共有
成果:患者さんの治療理解の向上、服薬継続の改善、生活の質の向上

PROFILE

T. T.東京第一支店 MR / 2016年度入社
経営学部 経済学科出身。疼痛・リウマチ領域を担当するMR。新卒で入社し、製品知識や疾患理解を深め、先輩の仕事から学びながら、少しずつ提案の幅を広げてきた。現在は医療関係者への情報提供に加え、患者さんの治療継続を支えるための提案にも力を注ぐ。MRは医薬品の情報を届けるだけでなく、多職種の視点をつなぎ、患者さんが治療と向き合える環境をつくる存在でもある。そうした実感を重ねながら、患者さんの日常まで見据えた支援を大切にしている。
※所属部署・役職・掲載内容は取材当時のものです。

PROLOGUE

薬を続けられない患者さんがいた

関節リウマチの患者さんは、薬を思うように続けられずにいた。関節リウマチの治療は長く続く。症状を抑えながら日常生活を維持するには継続的な服薬が欠かせないが、痛みやだるさが強い日は、その服薬自体が負担になる。治療は必要だとわかっていても、生活そのものがつらくなるなかで、「本当は飲まないといけない。でも、飲めない」という状態に陥っていた。
T.T.が向き合ったのは、薬の使い方の問題だけではなかった。治療が生活の中で続けにくくなっている現実に対して、MRとして何ができるのか。その問いに向き合ったことが、今回の取り組みの出発点になった。

SCENE 01

届いていた声は、一つではなかった

この患者さんの状況は、医師にも、薬剤師にも、看護師にも、それぞれ別の形で届いていた。医師は、検査値や疾患活動性をもとに治療全体を判断する。薬剤師は、薬の専門家として安全に服薬を継続できる状態を整えようとする。看護師は、日常生活の負担や治療への不安を近い距離で受け止めている。
どれも欠かせない視点だったが、重視するポイントは少しずつ違っていた。医師と薬剤師でも、何を優先して支えるかの見方にずれがある。そこに看護師が拾う生活の声も重なる。患者さんを支える情報は、すでに十分にあった。けれど、それぞれの視点は、患者さんが治療を続けるための一つの道筋として届いていたわけではなかった。

SCENE 02

治療を難しくしていたのは、
判断の迷いだった

関節リウマチの治療薬には、毎日服用するものもあれば、週1回、月1回のものもある。そこに副作用や体調の波が重なると、患者さんは「痛いときに飲んでいいのか」「本当は飲むべきだけれど、気持ち悪くて飲めない」と、その都度判断に迷うことになる。
服薬を続けにくくしていたのは、患者さんの意欲の問題ではない。症状、副作用、生活負担が重なり、患者さんがその日どう判断すべきかを一人で抱え込んでしまうことが、治療を続けにくくしていた。
薬剤師もフォローしていたが、根本的に解決するには、医師・薬剤師・看護師が見ている情報をもう一度つなぎ直す必要があった。T.T.が見ていたのは、薬そのものではなく、治療が生活の中で続きにくくなっている構造だった。

SCENE 03

”共通言語”をつくるという選択

そこでT.T.が着目したのが、「患者さんに伝える内容をそろえること」だった。活用したのは、服薬指導用の資材。薬の役割や服用のタイミング、注意点などを患者さんに説明するためのもので、あゆみ製薬では領域や患者さんの状態に応じた資材を用意している。うまく服用できていなかったことが治療を難しくしていた大きな要因だったため、この資材を用いて患者さんに服薬指導をしてもらうことにした。
ポイントは、その内容を薬剤師だけでなく、医師や看護師にも事前に共有したことだ。誰が患者さんに関わっても、服用に関する説明の方向性が大きくぶれない状態をつくる。同じものを見ながら話せるようにする。その“ひと手間”によって、ずれていた視点が少しずつ重なり始めた。
薬を伝えるだけではなく、支援の向きを束ねる。今回、T.T.が担ったのは、まさにその役割だった。領域に特化したあゆみ製薬が蓄積してきた知識と資材を、現場の課題に合う形で使う。その動きが、多職種のあいだに共通言語を生み出していった。

SCENE 04

橋渡しの先に、患者さんの変化があった

やがて、患者さんに変化が現れた。服薬への理解が進み、治療に向き合う姿勢が少しずつ変わっていった。医療関係者の間でも、患者さんの状態に対する認識がそろい、それぞれの専門性はそのままに、同じ方向を向いて患者さんを支えられる流れが生まれていった。
後日、主治医からは「こういう橋渡しは、MRにしかできない」と評価を受けた。T.T.自身にとっても、この経験は強く印象に残っている。自分が紹介した製品を使った患者さんについて、「家族旅行に行けるようになった」といった話を、医療関係者から間接的に聞けたからだ。直接患者さんに会うことはなくても、治療の先で起きた変化は、医療関係者の言葉を通してT.T.のもとへ確かに届く。その手応えが、MRという仕事の見え方を変えていった。

EPILOGUE

あゆみ製薬の領域特化型MRとして、情報の先まで考える

この経験を通じてT.T.が確信したのは、MRの仕事が、薬の情報を正しく届けることで終わるものではないということだった。患者さんが実際に治療を続けられるのか、その先の生活がどう変わるのか。そこまで想像してこそ、MRの仕事には意味がある。
医師、薬剤師、看護師。それぞれが持つ視点を整理し、患者さんが治療と向き合える状態へ整えていく。あゆみ製薬の領域特化型MRは、特定の疾患や治療に深く入り込むことで、医療関係者それぞれの専門性を尊重しながら、患者さんにとって「続けられる治療」を現場でつくっていく存在でもある。
情報の先にある患者さんの生活まで見据え、医療関係者と一つのチームとして治療を支える。それが、T.T.が体現してきた、あゆみ製薬が大切にするMRのあり方である。